再整備計画

「新西市民病院整備基本計画」を策定しました

神戸市及び地方独立行政法人神戸市民病院機構では、「西市民病院(市街地西部の中核病院)のあり方検討に係る有識者会議」から提出された報告書の内容を踏まえ、西市民病院の再整備にむけた検討を進めてきました。令和3年8月に神戸市が「新西市民病院整備基本方針」を策定し、令和3年11月に新病院の担うべき役割や診療機能の方向性を記載した「新西市民病院整備基本構想」を神戸市民病院機構とともに策定しました。

この基本構想をもとに、市民病院機構において必要な機能や施設並びに最適な整備手法などについて検討を行い、令和4年11月に「新西市民病院整備基本計画(案)」を公表しました。その後、基本計画(案)に対する意見を募集し、このたび、以下に示す「新西市民病院整備基本計画」を策定しましたので、お知らせします。

(参考)意見募集の結果

  1. 募集期間:令和4年12月1日から令和5年1月10日
  2. 提出意見:18件(※氏名及び住所の記載不備により、参考扱いとするものが別途1件)
    • 新病院の機能に関する意見 7件
    • 診療科目に関する意見 1件
    • 情報システムに関する意見 1件
    • 施設整備に関する意見 7件
    • その他の意見 2件
  3. 市民意見による新西市民病院整備基本計画(案)の変更は行っておりません。
  4. ご意見の内容及び神戸市民病院機構の考え方については以下をご覧ください。

※意見は、趣旨を損なわない程度に要約しています。

新病院の機能(7件)
ご意見の内容

DXを進めることも大切だが、高齢者のためにアナログな部分も残して欲しい。

神戸市民病院機構の考え方

新病院では、来院者の利便性向上を目的としてDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するとともに、高齢者を含めた患者が利用しやすく、快適に診断や治療、療養が受けられる病院づくりを目指します。

ご意見の内容

病院で働く人にとっても快適で魅力のある病院にして欲しい。

神戸市民病院機構の考え方

新病院では、医療従事者が安全かつ効率的に働くことができるように動線の分離・諸室の集約化を図るほか、職員食堂や院内保育所など職員にとって快適な環境を整備します。

また、トレーニングラボや視聴覚スペース、学習スペースなど働く人にとって魅力ある環境を整備するとともに、AIやICTの活用により働き方改革を推進します。

ご意見の内容

感染症対応のスペースは用意して欲しい。

神戸市民病院機構の考え方

新病院では、第二種感染症指定医療機関と同程度の機能・体制を確保するとともに、感染拡大時に備え、柔軟に対応できるスペースの確保、動線に配慮した施設を整備し、神戸市全域における新興感染症への対応強化を図ります。

ご意見の内容

がん拠点病院を目指して力を入れてほしい。放射線治療が出来る様になることは嬉しい。更にPET検査も出来る様になれば、ポートアイランドまで行かずにすみ完結できるので、PET検査機器導入を検討してほしい。

神戸市民病院機構の考え方

新病院においては、放射線治療機能を整備することで、がん治療の強化を図り、市街地西部内での治療の完結率向上、地域住民への通院治療を支援するとともに、地域におけるがん診療の拠点となる病院を目指します。

新病院で導入する医療機器については、今後の治療技術、検査・診断機能の高度化に対応し、市街地西部の中核病院として必要な医療を提供できるよう検討を進めていく予定であり、検討に向けた参考とさせていただきます。

ご意見の内容

がん相談支援センターの設置、がん患者サロン、ピアサポーター導入やがん患者さんの精神的なサポートを充実してほしい。

退院、転院、在宅への相談、かかりつけ医のない人への紹介窓口などの相談窓口を充実してほしい。プライバシーに配慮した面談室を設置してほしい。

神戸市民病院機構の考え方

新病院では、がん診療に関する情報発信や相談窓口機能の拡充、治療に関する適切な選択の支援等を行えるようがん診療支援センターを整備し、患者の総合的な支援、精神的なサポートの充実を図るとともに、様々な相談に関する窓口機能を一元化し、利用者が立ち寄りやすく相談しやすい、患者支援センターの整備を計画しています。

がん患者サロンの場を設けることや、ピアサポーターの導入など、具体的な支援内容や運営については今後検討させていただきます。また、プライバシーに配慮した面談室の設置について、来年度から始まる基本設計のなかで検討していきます。

ご意見の内容

認知症疾患医療センターとしての医療提供体制を充実させるために、新病院において核医学検査機器を整備してほしい。

神戸市民病院機構の考え方

西市民病院は、認知症疾患医療センターとして、認知症に関する鑑別診断、身体合併症の急性期治療に関する対応、専門医療相談等を実施しています。さらに、研修会等を通じた地域における知識の習得や技術の向上に取り組み、音楽療法や回想法などの予防事業にも力を入れています。

新病院で導入する医療機器については、今後の治療技術、検査・診断機能の高度化に対応し、市街地西部の中核病院として必要な医療を提供できるよう検討を進めていく予定であり、検討に向けた参考とさせていただきます。

ご意見の内容

効率化・最新医療も大事であるが、ミスが起きない様に医療安全対策に力を入れてほしい。基本計画案に、医療安全のことが、あまり触れられてないように感じた。安心して医療が受けられるように、ヒューマンエラーが最小限になるよう整備してほしい。

神戸市民病院機構の考え方

現病院の医療安全の取り組みとして、医師や看護師をはじめとした医療従事者が医療安全に対する指導を行っているほか、院内で発生したインシデントを定期的に院内会議等で共有・協議するなど、医療安全に関する対策や職員の意識醸成に努めています。

新病院においては市街地西部の中核病院として、安全で良質な急性期医療を提供することを基本的な考えとしており、新病院の運用を検討する中で、現病院での医療安全に対する取り組みを継続し、さらに意識を高めるとともに、より安全かつ迅速に薬剤が運搬できるような機械搬送設備を導入するなど設備面においても安全の向上に向けた取り組みを進めていきます。

診療科目(1件)
ご意見の内容

新病院の診療科について「思春期外来」の新設を希望します。

自分の子供が発達障害から精神疾患を発症した際は、児童精神科の予約が3か月待ちと言われ、治療開始までに時間を要するとともに、治療開始後のフォローも予約枠が少なく、思うように治療が進みませんでした。

発達障害の検査は神戸市でも担っているが、それでも需要が多く、初診であれば3~4か月待ちの状態です。

急性期病院として、精神症状を発症している、起立性調整障害などで登校できない、症状が強く投薬によるコントロールが必要など、急性期の患者を診察してほしい。症状が落ち着けば、開業医の通院にすればよい。

精神症状には身体的な検査も必要であり、そういった検査は大きな病院でしかできないことも多いです。

自分の子供の経験を通じて、情報提供の少なさや支援体制の不十分さを感じました。

思春期外来では、地域の医療機関や訪問看護師との連携を行ってほしい。少子化の中、不登校児の数が増えており、早急な対応が必要である。小児科と精神科と検査部門が連携できるのは大きな病院でないとできない。是非前向きにご検討いただきたい

神戸市民病院機構の考え方

現在、西市民病院においては、小児科において脳波やCTなどの内科的検査を実施しています。一方で、検査の結果、内科的要因がなく、精神科としての病状が懸念される場合は、児童精神科を持つ県立こども病院や県立ひょうごこころの医療センター等へ紹介を行うなど、他の医療機関と連携しながら対応しています。

児童精神科については専門性が高く、専門医数も少ないため、現状として体制の確保が難しく、新病院においても引き続き他医療機関と密な連携を図りながら対応していきます。

情報システム(1件)
ご意見の内容

大阪の病院がサイバー攻撃にあって診察が停止した。新病院では対策を十分に。

神戸市民病院機構の考え方

昨今、全国の病院で、データなどを暗号化することで使用不能にしたうえで、復旧のための身代金を要求する「ランサムウェア」の被害が多数報告されています。

市民病院機構におけるサイバーセキュリティ対策については、厚生労働省のガイドラインを参考にプログラムを常に最新の状態に保つほかデータバックアップの実施等を行うとともに、システム内部に侵入したウイルスの不正な振る舞いを早期に検知・対処する新たな仕組みを中央市民病院に先行導入するなど、サイバー攻撃の多様化・巧妙化に合わせた対策を進めています。

また、電子カルテシステムを含む医療情報システムが使用できない場合を想定したBCPも併せて検討しています。

今後も病院のサイバーセキュリティに関する情報を収集しながら、新病院においても技術面・体制面の両面から病院を標的としたサイバー攻撃に備え、対策と検討を進めていきます。

※災害などの緊急事態における企業や団体の事業継続計画

施設整備(7件)
ご意見の内容

近隣建物に対しての配慮をお願いしたい。現在、東急プラザの上(西向き)に住んでおり、ベランダからは鉄人が見え、見晴らしがいいので気に入っている。現在は、日当たりが良く、夏は風通しも良く快適である。近所に病院が出来ることは良いことだと思うが、住環境が悪化しないか気がかりである。何階建てなのか、窓から近いのか分からないが、隣の住宅にも配慮してもらいたい。現西市民病院に入院したことがあるが、窓から市営住宅がよく見えた。

神戸市民病院機構の考え方

建設場所については住宅に隣接していることから、病院整備にあたっては、近隣の建物への影響について法令遵守はもちろんのこと、プライバシー等への配慮についても今後設計を進める中で検討を進めていきます。

ご意見の内容

新病院は、利用しやすい駐車場を整備してもらいたい。

神戸市民病院機構の考え方

現病院では敷地内駐車場に94台分の駐車台数を整備していますが、ピーク時(外来受診時の朝)は台数が不足しており、来院される皆さまにはご迷惑をおかけしております。

新病院における病院駐車場については、病床規模(358床)を踏まえて、200台程度整備する予定であり、来院される皆さまにとって利用しやすい駐車場を整備します。

ご意見の内容

災害時に対応できるようヘリポートを設置して欲しい。

神戸市民病院機構の考え方

新病院では、災害対応病院として、また地域の災害機能強化を図るため、災害時に備えたヘリポートの設置を計画しています。

ご意見の内容

建てた後にやり直しはできないので、病院の敷地はしっかり取り、いい病院になって欲しい。

神戸市民病院機構の考え方

新病院の敷地は現病院と同程度を予定していますが、1床当たりの面積を中央市民病院や西神戸医療センターと同程度の約100m²となるよう建物の整備を行う予定です(現病院:約69m²)。

ご意見の内容

快適な入院生活が送れるような設備。点滴棒がスムーズにトイレに入れるようにトイレの入り口は高めに。今のお風呂は、湯船にゆったり浸かることができ広く、一人で占領できるので気に入っている。順番取りなどしなくても手軽に入れるシャワーブースがあれば便利。大部屋それぞれにトイレがあるのは便利だが、お腹の調子によって長時間占領するのは気を使うので、部屋外に誰でも使える共同トイレがあれば安心。外来のトイレも広めの個室があれば。暴露が気になるので、抗がん剤治療中の人専用のトイレがあれば安心。

神戸市民病院機構の考え方

新病院では、感染管理及びプライバシーの確保に配慮し、すべての利用者にとってわかりやすい施設配置とするとともに、快適な療養環境を実現するために、全ての人にとって使いやすいデザイン(ユニバーサルデザイン)に配慮した施設の整備、移動負担の軽減に配慮した利便性の高い病院を目指します。

また、高齢者や重症者など様々な状況の患者の安全と利便性を備え、スタッフが介助しやすい環境の整備などを計画しています。

患者本位で利用しやすく、快適に診断や治療、療養が受けられる病院づくりを目指し、今後設計を進める中で参考とさせていただきます。

ご意見の内容

災害時にも医療機能を継続できるようにしてほしい。

神戸市民病院機構の考え方

西市民病院は、神戸市より災害対応病院として指定されており、災害に備えて、電源・食料・水・医薬品等の3日分の備蓄を確保しており、新病院でも同様の備蓄を行う予定です。

また、新病院では、大規模災害時などの非常事態の際にも診療機能を継続できるよう、地震に強い免震構造を導入するとともに、医療スタッフの確保やインフラの整備を計画しています。さらに、屋外緊急避難場所として指定されている若松公園との一体的な活用により、地域の災害対応機能の強化につなげたいと考えています。

ご意見の内容

患者家族や職員にとって必要なコンビニエンスストアなど、利便施設を充実してほしい。

神戸市民病院機構の考え方

新病院では、利用者が待ち時間を有効活用できるようコンビニエンスストアやカフェなどの利便施設の充実について計画しています。今後、設計や病院の運営計画を検討する中で、病院利用者の利便性向上にむけて検討を進めていきます。

その他(2件)
ご意見の内容

しんどい人は、駅前から歩くのが大変なので、病院の前に乗り降りしやすい、ゆったりとしたバス停を設置して欲しい。

神戸市民病院機構の考え方

現在、令和7年度末の供用開始を目標に、バスロータリーの整備を含む駅前広場の再整備が進められており、この整備にあわせて新長田駅を中心としたバス路線の再編が検討されています。

今後も、より多くの方々が来院しやすい病院を目指して交通事業者と検討を進めていきます。

ご意見の内容

窓口のスタッフをはじめ全てのスタッフに対しても、接遇教育してほしい。

神戸市民病院機構の考え方

現病院でも全職員に対する接遇マナー研修を実施し、接遇能力の向上を図っておりますが、これらの取組を継続するとともに、人間性豊かな人材育成に努め、心のこもった医療を提供していきます。

(参考)今後のスケジュール

令和5~6年度 基本設計・実施設計
令和6年度~ 建設工事
令和10年度中 新病院開院(開院まで現病院の運営は継続)